またまた、町会費徴収の時期がやってきた。
もう、２ヶ月たっちゃたよー。
めんどくさいよー。
でも仕方ないので、集金に行くか、と用意していたら、
ピンポーンとインターホンが鳴った。
「☆☆ですけど。」
それ以上言わないので、急いで出て見る。隣の奥さんだ。
何かしら？町会費持ってきてくれたのかしら？
前班長の奥さんは苦労を一番理解してくれている人だ。
すると真剣な表情で、
「御宅、今朝大きな声で話してたでしょ？ここで。」
「は？」
「誰か来ていたでしょ？」
「え？ああ、きのう郵便局の人が書き留め持ってきましたけど。大きな声の人でしたねぇ。」
「ああ、そう書き留め。」
「ああ、今朝も宅配便がきましたけど。で？」
「御宅、契約の時にカギって他に誰か持ってるって言われました？不動産屋に。」
「？たしか、大家さんも持ってるって言ってたと思いますが。」
「ああそう、大家さんも。最近細かいものが良く無くなるのよ。」
「え？無くなるんですか？！」
「御宅はずっと家にいるからいいけど、うちはよく家をあけるから。」
「はあ・・・（なんで家にいるって知ってんねん？）」
「で、きのう意を決して不動産屋に電話したの。そしたら、警察に言ってくださいっていうばっかりで・・。」
「はあ（そりゃあ不動産屋さんもどうしようもないわなぁ、なんかおかしいなこの人）」
話してる間中両手の指で顔中押している。
で、人の顔ジットみて黙ってる。
「（え？なに？）で、それで？」
「あの時会って以来、奥さんとは会ってませんよね？」
「え？（あの時って？）」
「あれから、ずっと会ってませんよね？」
「はあ。（何この人私を疑ってるの？何を盗られたの？私がどうやったら盗れるっつうの？）」
と、突然
「御宅有線放送見れます？」
「いえ、契約してないから・・・機械はありますけど」
「うち、見れるのよ、契約してないのに。」
「え？みれるんですか？」
話が次から次へと、とりとめもなく移って行く。
まったく集中力無し。
「いいお天気ねー、うちの主人倒れたの」
「えー！」
「脳溢血で」
「えー！だ、大丈夫なんですか？」
「５日くらい入院したんだけど、仕事もあるし」
「あーびっくりした。（５日じゃ大丈夫ね。）」
「ここ一ヶ月くらい私も具合悪くて、ずっと家で寝てたんだけどね。」
「・・・（さっき家をあけてて、盗まれたっていってたくせに、絶対変。）」
その間も顔の指圧が際限なく続き、目がすわっている。
私の目を穴のあく程凝視するし。大あくびしたりもしてる。
うわぁ〜もう耐えられない！
「あ、あの私、町会費集めに行かなきゃならないんですけど、町会費いただけますか？今。」
というと、態度が一変。
「（キッ）後で、持って行きます。今都合が悪いから。」
都合が悪いからって？どういう意味？
高級車、大きな一軒家、セカンドハウスのこの部屋。
お金持ちなのに、１４００円くらい、部屋の何処かに落ちてんだろう？と思う。
絶対変。
「じゃ、集金に行かなきゃならないんで」というと奥さんは黙って、自分の部屋に入ってしまった。
自分で訪ねてきて、「じゃあね」でもなきゃ、「またね」でもない。
黙ってるなんて、今までの奥さんじゃない。絶対変。
だいいち、何の用だったの？
一度集金に行って、また一時間後に集金に行こうと部屋を出ると、待ち構えてたように、
奥さんが部屋から出てきた。ギクッ、また、話すつもり？
「（ニコニコ）あら、出かけるの？」
「あっ、町会費いただけますか？」というと
「（キッ！）後で持っていきますから、明日にでも！」
と言い捨てて、バタンと入ってしまった。
これは、いい。町会費の話を持ち出せば、すぐ居なくなってくれる。
でも、永遠にもらわないわけにもいかないし・・・。
どうしよう・・・・。
みなさんは、いわゆる「アルツハイマー」とか「老人性痴呆」とかの人と対峙した事ありますか？
わたしは、伯母がそうだったので、しばらく付き合ったことあるけど。
最初はちょっと物忘れがひどいな、くらいだけど、段々、忘れる時間が短くなってきて
１０秒前の事を忘れてしまうようになる。
そして、「物が無くなった。お金が盗まれた」と言い出す。
何十年も前に処分した桐ダンスを「引っ越し屋さんに盗まれた」といわれた時には
「伯母ちゃんのタンス盗むより、☆☆の社員やってた方が得だから、そんなことはしないよ。」
と説得したけど、会社に電話するってきかなかったので困った。
そのうち、母が遊びに行った時に「６万円無くなった！」と大騒ぎしたけど、
後からごみ箱のごみと一緒にみつかった。
母は怒ってたけど、「ボケる」ってそんな感じだ。
お隣の奥さんも御主人が倒れたショックで何処かの糸が切れちゃったのかも？
集中力が全然ないし、目はすわってるし。表情がおかしい。
きっと、お金も無くしてしまったとかして、御主人からお財布を取り上げられちゃったのかも？
なんか怖い。
理屈の通らない相手ほど怖い者はない。
あんまり邪険にしたら、わたしを敵とみなして攻撃してくるかも？
あらぬ罪を着せられたらどうしよう。
そして、なにより町会費もらえなかったらどうしよう・・・・。
