旦那が妙に早く帰って来た。
「あれー早いじゃん。」
「うん、みんな帰っちゃったからオレもね。」
「えー、いつも用も無いのにダラダラ残っている人達がぁ?」
「用はあるの!」
「だってー」
「えっとーーーカバンどれ持ってこうか?な?」
「あ?」
「だから、明日は忘年会なのよ。」
「あっそうだったか、忘れてた。」
「わしのいうことボーーーッと聞いてるからだよ。」
まだ、11月だというのに、もう忘年会だ。
しかも山代温泉で一泊、会費2万だってぇ?えー?
石川支社のやつぁ、遊ぶ事しか考えとらんのかぁ?あー?
「ちっ、いいなーあーただけぇー、ちっ」
「ちょうどいいのあったっけー、バッグ?」
「あーたのご自慢のエクセーヌ持ってったら?」
「あっあれ見つかったのか?」
「うん、引っ越しの時、UFOキャッチャー縫いぐるみの山の下で遭難しとったー。」
結婚当初、旦那のエクセーヌのバッグが素敵なので私が使っていた。
そのうち何処かに無くなってしまい、
一度貸したことのある実家の母まで疑ったが、ずっと行方不明のままだった。
で、引っ越しの時出てきたのだ、めでたく。
「そうか、じゃああれにしよう。」
「浴衣着て飲むの?」
「おうよ、温泉には浴衣じゃろう。」
「だったら、ちゃんと脚を閉じて飲みなさいよ。会社の女の人も来るんでしょう?
変態だと思われたら、二度と浮かび上がれないからね。」
「えっ・・・そうか・・・ジャージ持っていこうかな?」
「脚閉じていられる自信ないんだな。
持って行った方がいいとおもうぞーへっへっへっ。」
「あのバッグに入るかな?」
「入らんな。」
「・・・」
「違うバッグにすればいいじゃん。」
「うん。」
「会費の2万円、仕方ないから、出してあげるわよ。
忍びがたきを忍び、耐えがたきを耐え、出してあげるわよ。」
「うん。」
旦那が泊りがけで出かけるの忘れてて、
今日「おいなりさん」の材料を買ってきてしまった。
もう、明日は美味しいおいなりさん沢山作って食べてやるぅ。